脳内小説具現館

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 2000-04-03 Mon  00:00   [短編]

現在俺には悩み事がある
先日突拍子も無く俺に獲り憑いてきた悪魔
本名は長いので省略するがルキィと名乗る喜怒哀楽の激しい悪魔がやってきて
一日学校で暴れたと思えば次の日になると・・・いきなり機械みたいな奴になっていた
それは突然に、唐突に。

いくら考えても理由は解明されず
あの元気100%ジュースみたいな奴がいきなり豹変した訳は・・・
今だに不明

わけが・・・わからない




















―――ルキィが変になってから1日が経過した。
いや元々奴はあんな性格なのかもしれないが俺にとっては変なのだ
出会ってまだ片手の指で数える程の日数だが
あれが本当のルキィなんてのは考えられない



学校に着けばアイツは以前の元気っぷりが嘘の様に窓際に座り、一日中じっとしていた
ひたすら事務的に、その姿は精巧な人形の様
何度か俺の見えない所で銃声がしたがアイツは何も言わなかった

今週最後の学校が終わり、無駄に長い坂道を下っている間もルキィは終始無言

そして家に着けば何も言わずに飛んでいった
俺はその黒い背中を見送る事しかできなくて
ただ・・・口惜しかった






今日は・・・、土曜日
ゆとり教育のおかげで本日の学校は休みだ
快晴の真昼間にも関らず俺はベットに寝転びながら天井を見ている

母のおかげで綺麗な天井
俺の身長2、5倍分の白くて高い天井はいくら眺めても同じ白で
虚ろな気分のまま眼鏡越しに見える天井は少し幻想的にも見える

「今日は・・・どうすっかなぁ・・・」

今日の俺は休日だと言うのに予定は無い
・・・まぁ仮にあってもルキィの事が気になった一日になっただろう

ん?ルキィ・・・

「そうだ!」

俺は足をバネの様に使ってベットから飛び起きた
すぐに母が購入してきて無理やり使わされてる猫の顔がたくさん描かれているパジャマを脱ぎ捨て
外出用の濃い蒼のGパンと、フードつき長袖で緑の服へ着替えに取り掛かる

着替えを済まし、部屋の奥にある勉強机の引き出しから財布を装備に追加


部屋を退出し、階段を早足で降りていき・・・


「父さん!母さん!俺でかけてくるー!」
「あらあら、気をつけてね♪」
「ああ、子供は元気に遊ぶのが一番だ♪」
「そうねぇ、高士ちゃんがこのまま引きこもりにならないか心配だったわ・・・」
「しかし、たとえテストで赤点♪だろうと元気に生きてくれればそれでいいさ!」
「アナタの言うとおりだわ!高士ちゃん、赤点♪でも気にせず元気に遊んでくるのよ!」

ソファーに座った仲良し夫婦二人でガッツポーズ
せっかく忘れかけてたのに・・・
なんで俺が外出するだけでここまで言われるのだろう・・・
休日は外に行く方が多――あ、テスト勉強で最近外に行ってなかったな・・・

「とりあいず行ってきます!!」

くぅ






質素な紐付きの靴を履いて外に出ると
そこには例の無表情悪魔少女が相変わらずの黒服サングラスで待ち構えていた

思ったとおりだ・・・

「っようルキィ」
無駄と思いつつも近寄りながら挨拶
「こんにちは」
やっぱり反応は冷たいな。まぁいいか

「ルキィ、俺は今から出かけるがお前はどうするんだ?」
「同行します、仕事なので」
「OK、ちゃんと憑いてこいよ」

・・・ここまでは計算通りだ
アイツの仕事が俺の不幸を取り除く事なら対象が外出するなら憑いてくるはずだと俺は踏んだ
こんなやり口は好きじゃないが選り好みしてる程余裕はないからな


「・・・。今日本来送るべき予定とは違う行動を取りました
よって悪魔手帳の中身が一部修正されます」
「クマ手帳か?」
「答える必要はありません」

大分シケた対応だなぁ、まぁ期待はしてないがな

「修正の話は俺にしなきゃならない事だったのか?」
「はい、憑依者には知る権利があります」
「そうかい」
完全に仕事のマニュアル通り動いているか・・・

全く、唐突に変わられても反応に困るんだよ
俺の見たところだが、こいつは自分の意思でああいう態度をとっている
誰かに命令された位ではあそこまで豹変しないはずだ。付け加えれば本人からの拒絶の意思が明確に伝わってくる

まぁ・・・人間基準の判断だがな
しかし、一日で覚えた付け焼刃の演技なら潰せる可能性だってあるはずさ









「・・・ここは?」
「見てわからないのか?」

青く雄大に広がる建物
その青の中には海の生物達の絵が描かれている

「ここは水族館だよルキィ」
「・・・理解しました」
そう、ここは水族館の入り口付近
想定外の行動をされたのであろうルキィの顔には困惑が見える、よ〜っく見なければわからんほどだがな
そう、悪魔はとても薄いが動揺している・・・

ククク

悪魔手帳だけでは行動の全てを掌握できないようだ
ルキィの話をよく聞いていてよかった

[気分で行動を変えたり、思わぬ気分転換とかするっすからそれでたまに外れちゃうんっすよ〜]

ってのを言っていた
賭けには勝った、ここからが勝負の土俵だ

「いくぞルキィ」
「・・・」
無言で俺の後ろに続く
っと思えばルキィはいきなり歩行スピードを上げて俺を追い抜いて止まった
なぜだろうかと考えていると

「・・・っ」
ルキィは自分の足を歩行中の俺の足に引っ掛けてきた
「へ?」
世界が・・・回る〜

体に慣れた衝撃が走った

・・・ええそうですよ、コケましたよ
いや!コカされました!!

「ルキィ!?何する!?」
地べたから一瞬で飛び起きて怒鳴りつける
「・・・仕事」
「は!?」
「人間が予定を変更すると不幸予定が外れやすくなる・・・」
「なに!?」

俺は額を抑えた
そんな俺に構わずサングラス越しにルキィは言う
「早く行きましょう、仕事に支障がでます」

ん・・・?













視界には青い世界が広がる
水槽が右、左、下、っと一面に広がっている
「久々に着たがやはり綺麗な物だな・・・」

入場代は俺一人分で済むので財布も助かって万々歳

「どうだルキィ?悪魔界にもこんなもんあるか?」
「ありません、悪魔界には海や川がないから」
「そっか。ならここはおもしろいだろぉ?」
「・・・特に」

あの好奇心の塊の様な悪魔が興味無しのはずはない
野球がおもしろそうって理由だけで人を気絶させて体を乗っ取る位だからな・・・

「ここには中型の魚が多いみたいだな、マグロを1、2回り小さくしたのがいっぱいだ」
「・・・まぐろ?」
ルキィは慌てて口元を押さえた

「ああ、日本の伝統の寿司にも使われる程旨い魚だ。
大体は身が赤くて刺身醤油ってのにつけて食べたりもする」
「そうですか」
顔の向きは前方だけを見ているが完璧興味なしでは絶対ない


最初の大通りを抜け、小型生物を展示する場所へとたどり着いた
回りは薄い青に照らされ
クラゲやタコ、名前の判らない小さな小さな生物もたっくさんだ
サングラスさえ無ければルキィの視線を追う事もできるのだが・・・

「ルキィ、お前はここで待っていてくれ」
「同行します」
「なに?お前はトイレの中まで俺に憑いて来る気か?」
「・・・・あ、いえ。どうぞごゆっくり」
「ん〜〜?仕事はいいのかなぁ〜?」
やべぇ、俺チンピラみたいだ

「そういう場合は一時的に離れても許されます」
「ッチ、じゃぁゆっくり行って来るから
じっとしとけよ?」
はぁ・・・、なんか自分が嫌いになってきた

「わかりました」

そのままトイレの方角が示されている看板と同じ方向に歩いていく
ルキィの視線が遠くから俺の背中を見ているのがなんとなく判る

しかし、馬鹿正直に行く訳じゃない、せっかくチンピラ体験したんだからタダで終わっちまうのはもったいない
一旦曲がり道に入ってルキィの視界から消え
1分まった後に曲がり道の壁に隠れながらルキィの方を見る

「・・・」
じっとしている。

1分経過
じっとしている。

2分経過
じっと・・・いや、かすかに顔が動いてる

3分経過
回りを見渡し始めた、多分俺の用が小ではない事を判断したんだろう
それからルキィは急いで近くの小型水槽に駆け寄った

俺の勝ちだなルキィ

さて、早速行動を起こそうか

目算20M程の距離を泥棒並みの抜き足差し足でゆっくり近づいていく

ルキィはサングラスを外してクラゲの水槽にキスするかと言う位顔を近づけていた
まぁアレつけてたら視界が黒くなって味気ないわな

残り10M、悪魔は懐からカメラを出して激写しだした
この水族館って写真禁止じゃなかったかな

残り2M、ルキィは水槽を観察するので脳神経を全て使っているようだ
まずい、ちょっと笑いがこみ上げてきた

残り・・・0M
「ようルキィ!」
肩をバンッと叩いた
「ひゃぁぁっぁぁっぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁああ!?」
ルキィと出会ってから一番の大声を俺の聴覚に響かせる
うっせぇ―――

「ぶふぐ!?」
何かが俺の思考を揺らめかせた




「みんな〜〜〜〜!高士君講座の始まりだよ〜!」
「はぁい♪」
「ぉお!子供の高士君は元気がいいねぇ!」
「うん!高校生の高士兄ちゃん!何を教えてくれるのー!」
「そうだねぇ・・・人体急所って知ってるかな〜??」
「なにそれーー!」
「いい返事だ!人間には攻撃されると
とっても痛い部分がたっくさんあるんだぁ!」
「へぇ!なんだか怖いや・・・」
「そうだねぇ・・・、具体的に言えば
こめかみ 鼻 顎 喉笛 心臓 鳩尾 金的
等が一般的かな!」
「わぁ・・・いっぱいあるんだね!もし攻撃されるとどうなるのー!?」
「それはね!
         今の俺のみたいになるんだよ」



痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いー!
奴め!振り向き様に横なぎ払い手刀を俺の喉笛に!!!

「あ・・・ぐ!」
情けなくも喉を押さえてうずくまる
「だだだだだ大丈夫っすか!?」
「俺はもうダメだ・・・
極悪非道悪魔によって喉笛を潰された・・・」
喋ってるじゃんってツッコミは無しで

「っわーーー!?ごめんっすーーーー!!」
「うぅ・・・、もう俺はダメだ・・・
最後に俺の願いを聞いてくれるか・・・?」
「なんっすか!?」
「・・・やっぱお前の演技なんてちょろいな」
痛みを堪えて立ち上がる

「っへ?」
「二日ぶりの[っす]だな」
俺も久しぶりに笑った

「・・・ぁああ!?」
「くくく・・・、人間慣れない事はするもんじゃねぇな?」
「あっ悪魔っす!」
心なしか慌てるルキィも新鮮だ
全く・・・、手間懸けさせやがって
最初っから何時も通りにすればいいんだよ
ルキィが水族館に入る時、明らかに早く入りたそうな素振りを見せた。基本的に観察者の悪魔が行動を急かすのはおかしい
まぁ、ミッションコンプリートってな

「君?大丈夫かい・・・?」
「・・・え?」
いきなり体格の素晴らしいお兄さんに声を掛けられる
「あちゃぁっす・・・」

喉笛の痛みをやせ我慢しながらルキィと会話するので集中しきっていた
俺の回りには人、人、人
こんなにいろんな人に見られるのは高校入学の時にクラスでした自己紹介の時以来だ

「あ、いや、これは、あは・・・ははは」
もうほとんど大人である高校生がいきなり喉笛を押さえてうずくまり、さしては俺はもうダメだ・・・っとか言ったあげく不気味な独り言
俺の人生ワースト3に入る恥ずかしさだ
ここは・・・戦略的撤退だ!!

「ちょっとすみません!」
人ゴミの一角に突っ込み、いろいろな人を掻き分けながら必死に逃げる
後ろから飛んで憑いて来れるルキィが羨ましい

軽く汗を掻きながら人ゴミの結界を突破し、急いで小型生物のコーナーを疾走していった


「お前のせいだぞクソ悪魔ーーー!!」
「っへ!?アタシのせいにするなんて最低っすよ!」







「さてルキィ」
「はいっす・・・」
小型生物コーナーから逃走して俺達はこの水族館で最大にして最高の目玉である巨大水槽から少し離れた椅子に座ってる
ビッグマンタが目立つ背景の中、サングラスを外して椅子に正座で座るルキィに尋問タイム。カツ丼はない

「どうしてあんな態度を?」
一応小声だ
「それは・・・自分でしたかったからっす」
こいつは・・・だが嘘はついてない。ルキィの本心だろう
感情は隠してないがルキィの顔は固い

「ならなぜ・・・したくなったんだ?」
「それは・・・喋れないっす」
「喋れないのは仕事か?個人的な事でか?」
「仕事・・・・っす」
仕事と言う単語を口にした瞬間、またどんよりとしたオーラを放ちだした。回りに人魂らしき物が見えるような・・・

「そうか・・・ならいい。・・・これ以上は聞かない」
「え・・・?」
呆気に取られた顔の悪魔

「仕事が絡むなら仕方ないだろう
個人的な事ならなんとかして聞きだすつもりだったが・・・
やっぱり仕事の規則を破ると罰位あるだろう?」
「あ・・・はいっす。
軽い物なら減給。重い物なら・・・存在を消されるっす」
現代日本でも職務放棄で死刑はないぞ

「…存在?穏やかじゃないな、いくらなんでもひどくないか?」
「いえ…、悪魔界でこの仕事は名誉職なんっす
最高権利者の方々を抜けば、悪魔の仕事の中で一番尊敬され、忠実に仕事をしなければならないんっす」
悪魔ってのもいろいろ大変なんだな…、性格的にこいつがエリートに見えないのだが

「なるほど…だがまぁ・・・
このまま暗いままで居るのもアレだしマンタでも見て来い」
ビシっと巨大水槽に指を向けた

「あ、はい・・・っす」
そう言うとルキィはカメみたいなスピードでゆっくり巨大水槽の目の前まで飛んでいった


・・・さて、この場には俺独りになったわけだ
全く、一時は元に戻ったと思ったのに勢いで忘れてただけか、アイツの三文芝居も勢いで壊したみたいな物だしな・・・

しかし自問自答しなければいけない問題がある
俺はなぜルキィに対して怒ったのだろうか。別にアイツが変わったって俺には関係ないハズだ
アイツにだって俺に怒られる筋合いはない、まぁ単純だからそこまで考えて無さそうだが・・・
俺はルキィをどう思っているのか

いきなりやってきた悪魔少女
当たってるが違う

無表情悪魔少女
それは俺が否定した事だろう

なら・・・なんだと言うのだ
俺は頭を抱え、集中して答えを探す
ルキィと出会ってから今日までの日々を頭の中で再生する



――

―――!

やっと・・・判った
俺がルキィの事をどう思っているか。なぜ怒ったのか

俺は少し長い間座ったおかげで温かくなっている椅子から立ち上がり、水槽の目の前にいるルキィの元へ歩き出す

「ルキィ」
虚ろな瞳で巨大生物を眺めていた悪魔に声をかける
「はい・・・?」

言わなければ、ちゃんと言葉にして伝えなければ

「ルキィ、突然で悪いがな・・・えと、その」
「?」
恥ずかしい。生まれてからまだ1、2回しか使った事のない単語を言おうとしている。

「俺は・・・」
言え!
口の神経に脳から強制的な命令を出して一気に喋らせる!

「俺はお前の事を・・・その、知り合い・・・いや、とっ友達だと思っている」
頭の中の蒸気が弾け飛んだ様な感触
言えた・・・。だが恥ずかしい、耳まで真っ赤になっているのが判る
こんな台詞は引越しして、もういない奴にしか言った事はない、ましては当時は小学生だ
いやそんな事はどうでもいいんだ、今は・・・続けなければ

「お前と騒いだ一日は疲れはしたが・・・少し楽しかった
・・・だからなルキィ。
俺は友達が悩んでたら心配だし、自分にできる事なら力になってやりたいとも思っている」
「ぁ・・・」
ルキィは紫の瞳で俺を見続ける
そうなんだよ、こいつは馬鹿で単細胞だけど俺の中じゃもう立派に友達ってのになってんだ
友達の定義なんて知らない、そう思ってるのは俺だけでルキィはただの憑いた仕事相手くらいにしか思ってないかもしれない
・・・だけどさ、学校で暴れてた時のルキィの笑顔は嘘じゃないと思うから
だから・・・言うのさ

「そりゃぁ一般の高校生である俺に悪魔が悩むような事を絶対解決できるなんて思い上がってないがな・・・。
それでも・・・せめて機械みたいになるのはやめてくれ」
頭が沸騰するように熱い、半分くらい自分でも何言ってるか判らなくなってきた
だが伝えたい部分は伝えた

「あは・・・は。タカシからそんな言葉がでてくるなんて思ってもなかったっすよ・・・」
「悪いか・・・?」
「いやいや。嬉しいっすよっ」
ルキィは薄く・・・薄く笑った

「アタシも・・・タカシの事を友達だと思ってるっすよ」
本当に微細な表情の変化だがコイツの笑顔が何年ぶりかと思えてくる

「まぁ・・・、そういうことだっ!」
小声だが少し口調を強める

「ちゃんと入場料分は楽しむぞ!」
「アタシ入場料払ってないんっすけどねぇ・・・」
まだまだ元の元気とは程遠いが今日はこれでいいさ
人間欲張るとロクな事がないからな。少しづつでもいいから・・・。
ちょっとづつコイツを元気にしよう。俺にできるかは聞くな

今日は、一歩前進って事で
















「さぁって、今日の所はここまでってな」
全てのコーナーを見終わった俺達は早々に引き上げた。秋ももう終わりで夕方には水族館を出たのに、回りはもう真っ暗だ
今日は珍しく不幸にも会わず、快適な帰路につく事に成功した
家の門前でルキィと今日最後の会話を始める

「今日は・・・楽しかったっすよ」
ルキィはどこか儚げに笑う

「ああ、今度刺身でも食わしてやるよ」
「いいっす、魚って生き物は見るのが一番だと学習したっすから」
「旨いのに・・・」
「いらんっすっ、それよりタカシこそ階段からコケないように気をつけるっすよ??」
「俺はドジっ子じゃねぇっつうの・・・」
「どうっすかねぇ〜」
「ふん、まぁそっちも帰り道気をつけてな」
「あいっす・・・」
「じゃな!」
俺は右手を挙げて手を振った

ルキィは手を後ろに組んで俺を見送ってくれる







「友達・・・っすか」
ルキィの呟きは俺には聞こえなかった




























WEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!

「っは!?」
父が買ってきて、無理やり使わされている目覚まし時計
このうるさくて、声が微妙な音から回避するべく俺は日頃から目覚ましが鳴る前に起きる
・・・昨日は少し遊び過ぎたな

WEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!

「・・・」
とりあいず筋肉ムキムキの目覚まし時計を黙らせる

頭の向こうから見える窓は快晴を思わせる光が広がっている
ほんの少しだけそれを眺め、口惜しいが愛用になっている猫パシャマを脱ぎ捨て、昨日と同じ緑フード服と蒼Gパンに着替える
・・・いや汚くないぞ?
一日毎に服変えてたら洗濯代とかもったいないじゃないか
けして俺が不潔等ではない、2,3回着たら変えるしさ!

最後の装備品である眼鏡を装備すると

「た〜〜〜〜か〜〜〜♪」
「し〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
無駄に高く綺麗な声を出し、音もなくドアを開けて入ってきた
全くこの人達は・・・

「父さん!母さん!
音も無く子供の部屋に侵入するのはやめてくれ!!」

「さてさて♪」
「はてさて♪」
この馬鹿親達わぁ!母さん!全く見えないけどもう30台後半組なんだから[はてさて♪]っはやめておいた方がいいって!

「はっはっは♪」
「つい癖でね♪」
「どんな癖だーーー!?」

クソ・・・泣きたくなる
俺は自分の額を抑える

「っぁ♪高士ちゃん♪」
「流石は私達の息子だ♪もう着替えていたか♪」
「それくらいで・・・」
「さぁ!いくぞーーー♪」
「えぇ!レッツゴーー♪」
「はぁ・・・」


・・・、今日は家族で買い物って奴だ
もうすぐ冬なのでコタツを買い替え、後は冬服も揃えたいらしい(俺のはもちろん自腹)
そんなわけで愛しの町を離れ、車で小30分程の隣町の大スーパーへ家族総出で向かう予定なのである

父と母の身支度は済んでいたので俺はさっさと玄関に向かう
階段を走って降りてゆき
途中でキッチンから飴玉を3個程オヤツとして頂く

「んじゃ先に車に行っとくねー!」
つっても車は家から1分の駐車場だから近いけどさ
勿論昨日と同じ靴を履いて黒と金のモダンなドアを開ける


「ぁ。えと、・・・ちゃっす」
「ようルキィ」
ドアを開けると門扉の先に悪魔がいた
昨日までは挨拶なんか無かったのだから前進したものだ
できるだけ早く悪魔の様子を見たかったのが急いできた理由でもある

「ん?」
「なっなんっすか??」
俺は気付いた
「お前・・・サングラスは?」
「あ・・・」
ルキィはいつもと同じ黒服だが顔にはサングラスがついていない

「これは・・・忘れたんっす!」
「なんだ、ドジな奴だなぁ」
「ドジはタカシの方じゃないっすかぁ?」
「な?!」
このクソ悪魔め!
とりあいずチョップでもしてやろうかと思い、ルキィに近づこうとする

「あれ?」
体が軽くなった
「あはは・・・」
足が俺の思った方向に歩いていない
・・・靴紐がぁああ!!


「・・・がふっ!」
「な〜む〜っす〜」
毎度お馴染みになりつつあるがコケタ。ルキィの様子から判断すればこれは規定事項みたいだ
ちゃんと説明すれば・・・靴紐が解けたの・・・だ・・・

「下手なお経を唱えるな!!」
「あははっ」
ハイスピードで立ち上がりツッコんでおく
こいつの笑い顔も最近は数少ないシーンになってきた

「っぁ」
「ん?」
「いっいやなんでもないっす」
「ふむ」
どうせ今の笑い顔も悩み事を忘れていただけなのだろう
あーヤダヤダ。ずっと忘れときゃいいのに・・・

「ルキィ」
「はっはいっす」
「俺は駐車場に行く、お前はどうする?」
昨日と似たような質問

「・・・一緒に行くっす、暇なので」
「仕事はどうした」
「あ・・・、一緒に行くのも仕事っすよ」
っふん・・・
俺は少しだけ笑う

「んじゃ来い悪魔!」
「は・・・はいっす」
不安定な悪魔だな・・・、っま気長にいくからいいさ

まぁしかし仲良くお喋りしながら歩くなんてのは、現状ありえなく。俺の後ろに背後霊のように憑いて来るだけだ

「・・・ぬぅ」
「・・・・」
なんて重い空気だ

こっそり後ろを窺ってみたがルキィは下を向いて目に光がないような感じがする

「・・・・・・今日・・・・・」
ボソッっと何か言った
きょう?協、強、京、興、今日
今日ってのが一番しっくりくるな
何が今日なのだろうか

―――ルキィの悩みの原因と関係が―――






ねずみ色が広がっている景色
まばらに車が見えるが無駄に広い割には少ない方だと思う
・・・俺達は父さんと母さんが来るまでこの駐車場で待ってなきゃいけないワケなのだが

「・・・」
こいつからは喋りそうにないな・・・
駐車場では定番の車輪止め。まぁ俺はねずみ色枕っとか、コンクリートの塊・・・くらいにしか呼んでなかったが昔田中に教えられて覚えた
まぁその車輪止めに座りながら地面を見ている悪魔
俺はそこから2歩程の距離にある自宅カーに体重を預け、ぼーっと立っている

本来この気まずい空気は男の俺が楽しい話でも出してなんとかするもの

だが俺は基本的に女と喋るようなのネタをぽんぽん思いつく性格じゃないんだよなぁ・・・

手が寒いのでポケットに手を突っ込む
しかし、手にチクっとした感触がかえってくる

「ん?」
そういえば・・・、ポケットに飴入れてたな・・・
飴が入ってる小さな袋を開けるの時便利なトゲトゲに手が当たったようだ

そうだ

「なぁルキィ、飴食うか?」
「ほへ?」
予想してなかったらしい。まぬけ面だ

「なんだ?飴を知らないのか?」
「しっ知ってるっすよ、授業で習ったっす!」
「んじゃぁ悪魔界にはないんだな
少なくとも人間界じゃ飴の授業なんかしないしな」
「っぅ・・・」
「遠慮なんぞせずに受け取れ」
素早く動き、座っているルキィに近づいて無理やりピーチ味の飴を悪魔の白い手に押し込む

「あ・・・」
「お前そういうの好きそうだからな、前に煎餅食ってたし食べれないんじゃないだろ?」
「あっありがとっす・・・」
「うむ」
ルキィは少しトゲトゲを観察しながら、使用方法を理解したようですぐに袋から飴玉を取り出した
俺も自分のピーチ飴を袋から取り出し、飴玉を口の中に放り込む

「・・・おいしいっす」
舌からピーチエキスか砂糖かは知らんが、味を染み出てきて、悪くない気分だ
ルキィは眼を細めて幸せそうな顔をする

「悪魔界にはお菓子とかはないのか?」
「・・・はい、甘い物は悪魔界特産の悪魔チョコだけっす」
「なんだか悪魔界のネーミングセンスを疑うな・・・」
「アタシもっす・・・」
なんとか会話が成立し、次に何を話そうかと悩んでいるといきなりこっちに向いて

「この飴・・・、すごくおいしいっす
・・・ありがとっす」
「・・・そうか、それはなによりだ」
結構面と向かってありがとうっと言われると気恥ずかしいものだ
自分のなんとなくの発想が成功して少し・・・嬉しい

「ルキィ、俺は1個で十分だから残りのをやる」
ラスト1個の飴をルキィに渡す

「っへ?でも悪いっすよ」
「甘い飴は1日1個で十分だ
それ以上食うと舌が甘ったるくなって気持ち悪い」
「そっそういう事なら・・・」
悪魔は黒服の胸ポケットに飴を丁寧にいれた

「・・・どもっす」
「どういたしまして」
まずいな、この先なんて喋ろう

「た〜〜〜〜か〜〜〜〜し〜〜〜〜〜♪」
「た〜〜〜〜か〜〜〜〜ちゃ〜〜〜ん♪」
「な!?」
俺は驚いた
声もびっくりだが・・・、夫婦二人でガソリンタンクを二つづつ背負って猛スピードで走ってきてどんどん俺に接近してくる
土煙も微かにだが見えてしまう
・・・・ここらへんコンクリートなのになぜ

「うぉっと!危うく高士を轢いてしまう所だった」
子供を生身で轢く親がどこの世界にいる
「やぁ〜ね〜、アナタ、もう少しコントロールしなくっちゃっ」
いやツッコムのはそこですか?

「・・・なんでガソリンタンク背負って走ってきたのさ」
「はっはっは、気がついたら予備の燃料がなくってなぁ!」
「そんなわけで二人でガソリンスタンドまで買いに行ってたの♪」
「いやぁ、遅れてすまないな♪」
「・・・歩きで?」
「「走りで♪」」
二人の声が同調した

「いやいやっ!家からガソリンスタンドまで3キロはあるよ!?
俺が待ってたの10分くらいだよ!?」
「はっはっは♪」
「てへっ☆」
母さん・・・、だからもう30後半組なんだからその言葉はまずいって!

「さぁ!乗り込むか!」
「ええ♪」
息一つ乱していない夫婦はガソリンタンクを車の後ろに入れて
仲良く車に乗り込んだ。あ・・・車に鍵かかってない

「ルキィ、お前も早く乗れ」
もはや基本動作の小声

「え?いやアタシは飛んで行く―――」
「早く」
「っぅ〜・・・、わかったっす」
こいつは遠慮の塊だったり無遠慮の化身だったりややこしい
どっちかにしとけってんだ

悪魔と俺は車に乗り込んだ





「わーー・・・、速いっす・・・」
「まぁ基本飛ぶんだから車は初めてだよな」
「はいっす、感動の一瞬です・・・」
少し元気が出たようだな
ほんと単純な奴だ

「高士♪」
「どっどうしたんだ?」
不気味な笑顔だよ父さん
「いやぁ♪通販で買った睡眠薬をちょいといじくって」
「催眠ガスにしてみたの♪」
「は!?それ法的に大丈夫なのか!?」
「気にしない気にしない♪」
「怖いっす・・・」
悪魔も怖がる鬼夫婦

「そ・こ・で♪だ高士♪」
「ちょ〜〜〜っと実験台になってもらえないかしら♪」
これは質問系じゃない・・・な・・・

「いやだ!!!」
そんな可愛い子供の言葉も無視して俺の父と母はガスマスクを取り出して顔に装着した
いや一般夫婦の持つものじゃないでしょそれ!?

「大丈夫♪すぐに眠くなるからな・・・♪」
「危険はないわ・・・♪」
いややめて!
とにかくやめて!
その殺虫剤みたいな缶から怪しい睡眠ガスなんてださいで!!

「「そ〜〜〜っれ♪」」
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーー!?」
「ひぇぇぇぇ・・・っす・・・」
プシューー!!!っと缶からガスが噴射
なんだか虫になった気分だ・・・。意識が遠のくなか誓った
虫よ・・・俺はもう殺虫剤は使わない・・・















「っは!?」
「起きたか高士♪」
「以外と早いはね♪起こす手間が省けたわ♪」
母の片手にはスタンガン
死ぬって・・・

「たっタカシ、目的地についたっすよ」
「ん?あぁ・・・」
眼前に広がるは屋上から気球まで飛んだビッグデパート
巨大な宣伝ポスターが上から下へいくつも掛けてある

「でっかいっすねぇ・・・悪魔界にはここまで大きなすーぱーはなかったっすよ」
「デパートな」
俺の親たちはすでに外で子供を待っており、早々に後部座席から退席する
ルキィは飛んで車の天井をつき抜け、俺の上空に浮んだ

「それじゃぁ行こうか高士♪」
「急がなきゃセールが終わっちゃうわ♪」
「・・・あぁ」
とても睡眠ガスで子供を眠らせた夫婦には見えない普通の会話
俺も大人になったらこうなるのかなぁ・・・
いや、感覚が狂いそうだからこの人達を基準に考えるのはやめておこう


大デパートに相応しい広々とした駐車場をゆっくりと歩き、馬でも闊歩して通れそうな入り口を通過する

「まるで城だな・・・」
「そうね♪だけど城ならこんな攻め落とすのが簡単な造りにはしないハズよ♪」
「そうだな!ここなら一小隊で1時間で制圧できる♪」
「父さん母さん。変人に思われるから小さな声で喋って」
道行く人数人がこっちを一瞥していた
恥ずかしいな・・・

「それじゃぁ高士♪」
「こっちは品物を漁ってくるから高士ちゃんは自由にしてて♪」
「あいよ」
外ではできるだけ離れて歩きたかったんだ父さん母さん♪
これで俺の恥ずかしい種は消える

「「それじゃあねぇーー!」」
二人してエスカレーターを使わず階段を疾走していく
家具とか服とかって8階じゃ・・・
入り口の案内板を軽く見ただけだが間違いない

「・・・さてルキィ」
うっかり居るのを忘れそうな悪魔に声をかける

「はいっす」
「俺達はどこへ行く?」
「・・・タカシが決めてっす」
? いきなり暗くなったな

「まぁお前じゃ人間界のデパートはよくわかないか・・・」
特に見たい所はないが・・・、こいつの好きそうな場所にでも行ってみるか

「んじゃ憑いて来いルキィ」
「はっはいっす」
なぜか動揺した悪魔は飛ぶのをやめて歩いて俺に憑いて来る

「・・・はさまらないようにな」
「ほぇ?」
人間の 楽してー!っから生まれた産物エレベーター
この鉄の扉に挟まれては悪魔も一溜まりもない・・・はず

「っぉ、着たな」
ランプが一階を照らし、間もなくドアが開いた

「わおぉお!?」
「ほんとイチイチ驚くな・・・、早く乗れ。閉まるから」
中に誰も乗ってなかったので普通の声で喋る

「わわわわ!?」
「落ち着け・・・」
[開く]ボタンを押しながら慌てるルキィをなだめる

「とりあいずこの扉の向こうに入って来い」
「あっあいっす!」
勇気を振り絞るように眼を閉じて両足で兎のようなジャンプをしながらエレベーター内に入ってくる
うーん、もし過去の時代の人がタイムスリップして初めてエレベーターに乗る時こんな反応するのかなぁ

「なっなんともないっす・・・」
[閉める]ボタンを押す
扉が滑らかな動きで閉じた

「しっ閉まったっすよ!?
これ大丈夫なんすか!?」
閉まった扉に顔を近づけながら慌てる

「大丈夫だ・・・、それより後ろ見てみ」
「へ?」
足元の赤い絨毯を踏みながら悪魔は後ろを向いた
エレベーター内の外側はガラス張りで上に昇っている間も景色を楽しむことができる
ここの設計者は素晴らしいな、うん

「これは・・・すごいっす・・・」
今度はガラスに近づいて両手でガラスを触りながら外の景色に見入る
その様子は結構綺麗で絵画で言うなら
[ガラスと悪魔]
な〜〜〜んて名前を付けたくなる位よくあっている

「すすすごいっすね!さっきまで乗ってた車がアリみたいで!
いろんな人間が住んでる家もお米みたいっす!!」
「お前空飛べるんじゃないのか・・・?」
「こんな高く飛べないっすよ!!」
ただいま5階。これでも飛ぶなら十分高いな

「まぁさ、人間界も結構いいもんだろ?」
「はいっす・・・!悪魔界にはないものがた〜〜〜〜っくさんっす!」
夢中になりながら身振り手振りでルキィ感覚のすごさを伝えようとする
やっぱりおもしろいなこいつは・・・

「ぁ・・!?なんで笑うんっすか!?」
「悪い悪い、お前みたいな奴は見たことなくてな」
俺と同じくらいでここまで無邪気なら大したもんだぜ

「なんだか馬鹿にされた気分っす〜」
「気にするな
それより着いたぞ」
エレベーターのランプは9階を指している
全10階のどでかい内部だがこの階はオモチャ売り場
まぁ平均年齢は8歳くらいだろうがな、ルキィの精神年齢にはピッタリだと思うワケよ

「ほらさっさと降りろ」
「え・・・?もう着いちゃったんっすか?」
「何を寝ぼけた事を言っている。さっさと行くぞ」
「は、はいっす・・・」
また暗くなりやがった、まぁ悩みを知らない俺には大した事はできないのだが
気休めぐらいはしてやるさ












エレベーターを降りた瞬間現実に戻された気がした
ガラスの向こうに見える景色は非現実的で、タカシと喋るのも楽しくて・・・
つい忘れてた。いや忘れたかったのかもしれない
新しい発見がたくさんの人間界を見るのも、ぶっきらぼうだけど優しいタカシと喋るのも
アタシには最高の楽しみだ
だけど・・・時間は過ぎていく

刻々と
ただ無常に















「―――んでこれが怪獣ってやつだ!
正義の味方に集団でボコボコにされる可哀想な奴なんだ・・・」
「それは・・・ひどいっす」
おかしいな、食いつきが悪い
こいつならもっとオーバーリアクションで返すと思っていたのに
もう15分ほどいろんなオモチャを見せているが反応は最低限の応対をしてるって感じだ
おっかしぃ。これじゃあ俺はただのオモチャ売り場で反応の薄い相手を無視してはしゃいでる痛い奴じゃないか

「そだ、アレがあった」
「ほぇ?」
「ルキィ、そこで待ってな!」
「ぇ?あ、はいっす」
オモチャ溢れる棚にもたれ掛かりながらルキィは走り去る俺を見送った
へへへ、オモチャ売り場にはアレくらいあるはずだ



「タカシなにしてんっすかねぇ・・・」
「うりゃぁ!!!」
「っへ!?あうあぐあ!?」

ピコッ!!っと素晴らしい音がルキィの頭から響く

「なななななな?!?!」
慌てふためく悪魔
日頃のパンチのお返しだばーか

「これはなルキィ」
悪魔が持たれていた棚の後ろから顔を出す

「どっから出てくるんっすか!?」
「気にするな
これはピコピコハンマーと言う物だ
これで殴ると―――」

ピコッ!!!っと快音が鳴る

「あぅ!?いちいち殴らないで下さいっす!!」
「こんな音がでる♪」
うし、元気になったかな

「どうだルキィ」
「なにがっすか!?」
「元気は出たか?」
「!?」
ルキィは紫色の眼を見開かせた

「タカシずるいっす・・・」
「すまんな、最近元気がなかったから無用な世話かもしれんが行動を起こさせてもらった」
「・・・・ぅ〜」
「悪いな」
棚越しに悪魔の髪ぽんぽんっと軽く叩く

「・・・タカシはやっぱり優しいっすよ」
「そうかねぇ」
「そうっす」
悪魔は泣きそうな顔で笑った
なぜこいつはこんな顔をするのか
こいつを悩ませている原因とはなんなのだろう

「でも・・・ね、時間っす」
「どういう意味だ?」
俺が言葉を発した瞬間轟音がオモチャ売り場に響いた
















轟音から3分前

「まさか・・・、お前がここに居るとは」
部屋の片隅の人気が全くない廃品家具エリアに三人の人間が居る

「正直驚いているわ、最近日本で暴れていたみたいだけれどこんな所で会うなんて」
二人の夫婦が話しかける相手は・・・肩までくる黒い髪に機能性の高そうな真っ黒服
最後のアイテムが黒い眼鏡
全身黒づくしの男だ

「いやはや、これでも私も驚いているのですよ?
お二方とはもう一生会わないと思っていましたから」
「お前が何があって狂ったかは知っている
もうこんな事はやめるんだ大野」
「・・・貴方に何がわかると言うのですか?
ただ情報屋から聞いただけの貴方が」
大野と呼ばれた男は声に憎しみを塗りこめるように、静かに低く言った

「私は復讐します
自分が正しいなんて微塵も思いませんし他の人は私の事を狂人としか呼ばないでしょう
しかし・・・大野隆正と言う人間は復讐をやめません
永遠に・・・この命が尽きるまで
日本と言う国全てに・・・!」
「・・・ならば、お前を止めなければならない」
夫婦は二人で懐の裏ポケットに手を入れる

「一般夫婦の貴方達が銃を持っているとは考えにくいですね。せいぜい改造したオモチャかナイフ位ではないのですか?」
「・・・正解だ大野」
「だけどね」
夫婦の内黙っていた女の方は口を開け、簡単な現状説明

「いくらなんでも私達二人を相手に長時間誰にも見つけられずに倒せるのかしら?」
「さぁ・・・私はか弱い、やさ男ですから
それに大声を出されてはお終いですしね」
にっこりと大野は笑った

「人がくればお前は混乱に乗じて逃げるだろう
できる事なら捕まえたいのでね」
「それは―――」
大野が喋るのを待たず男は駆けた
懐から小型のナイフを抜き出し大野の足目掛けて斬りつける

「相変わらず粗相がなってませんね」
しかし大野は後ろに後退して回避

「まだだ・・・!」
一瞬で後退した大野の懐に飛び込み、2撃目を繰り出す
「っち」
ポケットから黒塗りのナイフを取り出して攻撃を防ぐ

「・・・ほぉ、金属防音ですか、一般夫婦のナイフには過ぎた機能ですね」
「人生いつ何があるかわからんからね・・・」
ナイフ同士の鍔迫り合いを2秒だけ繰り広げるがそれ以上は続かなかった

「―――ッシ!」
「!」
大野の背後から女がスタンガンをこちらに向けてくる

「れんけい―――か!!」
大野は全体重を抜いて下に回避。だが長い髪の内3本は焦げて無くなってしまった
男はナイフを体勢の保てていない大野に振り落とそうとするが
一瞬地面に両手を置いた大野はすぐさま足払いを男に与える

だが男はほんの少しジャンプして攻撃を受けず、無傷だ
「甘いぞ大野―――」

しかし予測していたかのように男と女の間から横に飛び込み、距離を置いた

「っく・・・しまった」
「やはり・・・まだお強いですね」
「この連携を回避したのはチームではお前と隊長だけだったしな」
「隊長みたいな化け物と一緒にしないで下さいよ
私は普通です」
「まぁ・・・そんな事はどうでもいい
この様子じゃ勝負は長引きそうだが」
「ですね、お二人なら炸裂弾やスモーク弾くらい作ってそうですし、長く戦いたくありません」
「なら大人しく投降することね」
「すると思います?」
「絶対にしないな」
男は笑った

「それでは・・・今回はこのぐらいで」
「今度はこっちが聞くわ」
「逃がすと思うか?」
「ふふ・・・種は偶然にも用意していますよ」
「なに・・・?」
「アナタ・・・!」
「まさか!?」
大野はナイフを持っていない手で懐からボタンが一つしかないネズミ色のシンプルな物を出した

「私の得意分野は単独潜入、内部破壊
そして・・・爆発物です」
大野は親指でボタンを押した

途端に轟音がデパート中に響く
足元がぐらつく感覚を三人は覚え、次々に轟音が続いた

「お前・・・爆薬を・・・」
「今日はそういう用でこのデパートにきたのでしてね」
「けど、私達がこれくらいで逃がすとでも・・・?」
「うる覚えですが、貴方達には息子がいましたね」
「「!?」」
「非常口を除いてほぼ全てに爆薬を設置しました
運がよければ生き残るし・・・悪ければ」
「母さん!」
「アナタ!」
夫婦は大野から目を離さぬように後退し、そのまま走り去った

「・・・久しぶりに会えて嬉しかったですよ二人共」
黒い男は炎の煙の中、消えていった











目の前が赤い
別に血なんか出てないが赤いんだ

「・・・燃えてるな」
辺りは赤一色で火一色
夏の高温期よりも熱い
のどかな子供達の笑い声でいっぱいだったオモチャ売り場は・・・代わりに人々の叫び声で埋め尽くされている

「ぼーーっとしている場合じゃない・・・落ち着け俺!!」
自分でまだ燃えていない棚に頭突きをする

「いくぞルキィ!」
「はい・・・」

非常口に向かって走る、人が溢れているだろうがこの際仕方ない
今大事なのは燃えてると言う事実と逃げなければならないと言う事実だけだ

落ち着くのが・・・生き残る手段だ、父と母が戦場では冷静さを失った者から死んでいくと習った
生きてる間にこんな知識は役にたたんだろうっと思ってたがまさか使う事になるとは思わなかったよ

「うし、ついてる!」
少し前に俺達が居た場所は非常口から一番遠い位置だった、だからここまで走ってくる間に騒ぎは一世代前に終わり
今は人もいない。もう火の回りも危険になってきたから俺は運がいい


「えーーーーーーん!」
「な!?」
火の中聞こえるのは子供の声、誰もいない燃えたデパートで泣いているのは逃げ送れたワケで
ほっときゃ死ぬってワケで
助けなければならないってワケ!

「ルキィ、そこで待ってろ!」
「・・・」
悪魔を置いて火がまだ燃えていない所を選んで駆け抜ける

「どこだーーー!?」
普段は絶対ださない大声で子供を探す

「えぇぇぇーーーーん!!!」
「そこ・・・か!!!」
半分燃えている棚の下、オモチャを入れる篭の中に子供は泣いていた
誰だよ置いてったのは・・・

「ほら、ボウヤ・・・もう大丈夫だから」
俺は優しそうな顔を無理やり作って手を差し伸べる

「ぅ・・・ん」
やっと泣き止んで俺の手を握り返す

「うし!急ぐぞ!!」
子供を担いで無理やり元来た道を逆走

「ぁ・・・わ!?」
「揺れるが我慢しろよ!!」
っとは言ったものの、さっきまで正常だった道はほとんど火で埋め尽くされ
さっきより時間をかけて非常口付近まで到着した

「っぉ、ルキィ!」
火に照らされて朧げに見えるルキィは[悪魔]のビジョンとても合っていた

「って・・・嘘だろ」
非常口はもう燃えている。非常口の回りは火の海が出来ていて無理やり渡ろうものなら・・・渡りきる時は骨だけになってそうだ
しかも火は現在進行形で拡大中

「クソ!逃げるぞ!」
「はい・・・」
「っぅ・・・うん」
とりあいず火の回りが一番少ない壁際に3人で駆け寄った
しかしこの後どうするか等考えていない
こんなのは久々だよ・・・

「ははは・・・嘘だろ・・・」
子供はもう完全に黙って俺にしがみついている

「渡草高士」
「は?」
俺を苗字で呼ぶ奴は少ない上にフルネームで呼ぶ奴なんで知らない

「渡草高士これを」
俺の名前を呼んでいたのはルキィ、声は以前の機械状態とはまたかけ離れた悪魔の声
聞いていて背筋が凍りそうな声
その悪魔は俺に開いた状態で悪魔手帳を見せた

「おいおい、嘘だろ・・・」
それはうっすらと何かが浮かび上がっていった
白い紙の上に浮ぶ文字は

「対象渡草高士、午後13時57分暁デパートで買い物中に犯罪者が放火
デパートは全焼し対象は火に焼かれ子供と共に死亡」
「おいおい・・・冗談だろルキィ」
火に照らされた悪魔の顔は冷酷だった

「現在13時55分予定時刻まで・・・2分です」
「・・・っく」
嘘でも冗談でもないらしい
確かにこの状況で助かるのは難しいってのは理解していたが直球で死ぬっなんて言われたらさ
理解に・・・時間がかかるよ

「――――――ごめんなさい」
「ん?」
いきなり生気を帯びた声にいささかびっくりする

「アタシ前から知っていた
タカシに会って二日目に!学校で騒いだ次の日には!
知っていて・・・知っていてタカシに言わずにいた
とても優しい高士が死ぬのを自分で誤魔化してた!
友達なんて言って見殺しにした!!」
ルキィは泣きながら叫んだ
ご自慢の[っす]口調も自然に出てきてない所を見ると本人はすごく真剣なようだ
ぁ〜、ルキィが豹変したのはこういう理由だったのか・・・、そりゃぁ死ぬ人間と仲良くなったって後で悲しくなるだけだもんな

「謝るなルキィ」
「・・・どうして?」
泣いて声が擦れているがルキィは聞き返した

「俺は別に怒っちゃいないよ
こういう理由があって俺を避けてたってのは理解したし、自分が死ぬってのは・・・いささかショックだがお前のせいじゃない
規定事項って奴だろ?」
「でも!!」
「友達なんて言葉は俺が強引な手を使って言わしたみたいなもんだ
ノーカンでいいさ。忘れな」
無理やり笑顔を作ってルキィに見せた
死ぬ・・・なんて概念はどうのこうのって考える気はないが人間いつか死ぬのさ
そりゃ人それぞれで俺位の若さで死ぬ奴なんて少ないだろうさ、ほとんどの高校生がもっと長生きする
しかし俺よりも早く死んでる人間だっているのさ
そんな人を差し置いて慌て散らしていたら早くに命を落とした人に申し訳ない
・・・っま未練はあるが仕方ないさ
仕方ないさ

「―――違うよ、タカシ」
「ん?」
「強引な手で無理やり・・・っは違うよ、アタシは前からタカシの事を友達だと思っていたから」
「・・・そっか、ありがとな」
「ぅううぁ」
ルキィは胸を押さえ・・・いや胸ポケットだな、そういえば飴もあそこに入れていたな。恐らくポケットごしに飴を握り締め、ルキィはまた泣き出してしまった
とりあいず俺は悪魔の短い髪を撫でてみた、遠くから見えるオモチャ時計が指す時刻は13時56分10秒
もう火は俺の目の前まで来た

「まぁさ、俺はたしかに生き足りないがお前を恨むような真似はしない」
俺が生きている間に言う最後の言葉
もう恐怖で意識を失った子供を強く抱きしめる
見知らぬこの子が1秒でも長くが生きれるように

「時間は短かったがお前と居た時間は退屈じゃなかったぜ?」
火は俺の縮めていた脚を焼き始める
肉がやける独特の臭いが俺の鼻を刺激する
もっと香ばしい匂いだと思っていたが焦げ臭い
そろそろ終わりかな

「っま!ちゃんと魂はエスコートしてくれや!」
父と母は逃げ切れただろう、悪魔のルキィは心配いらなそうだ
子供が一番気がかりだな、どこの誰とも知らぬ奴と死ぬなんてさ
ごめんな、助けてやれなくて

だんだん意識が遠のく
煙を吸いすぎたかな・・・、まぁ生きたまま焼かれるより意識がない内に焼け死ぬ方がいい・・・さ


俺は静かに目つぶった


「―――やっぱダメーーーーっす!!!!」
「は?」
まぬけな声に起こされる

「ダメなもんはダメっす!!!」
そういうとルキィはいきなり踵落としを俺の真横の地面に向かって繰り出し・・・コンクリートが砕けた

「うっそん・・・」
ついでに火も飛び散った

「タカシ!体縮めて!!」
「え?あ、ああ!」
すごい剣幕のルキィに負けてスポンジのように最大限縮める
ルキィは懐から悪魔銃を取り出し

「たぁ!!っす!!」
ダンダンダンダンダンダン!!って6発の弾丸を壁に撃ち込んだ
耳いてー

「行くっすよ!」
「何が!?」
もはや頭は大混乱、ボケ老人クラス

「つべこべ言うなっす!!」
俺と子供の体を片手で担ぎ、いや力持ちだなルキィ

「てやっす!!!」
一歩後ろに下がり、銃でひび割れた壁を蹴破った



「嘘だろ、おい」
「本気っす・・・!」
すぐさま俺と子供を担いだままでかい穴から外に出た
下には9階分の高さから見える大量の米・・・じゃなくて人間
そこはひたすら高くて飛び降り自殺する人間ってすげぇ・・・っなんて思う

「舌噛んじゃダメっすよ!」
いきなり重力に曳かれて下に急降下
自分がさっきまで座っていた場所が全て燃えていた

「いああああいあやいあやいあやいや!!!」
パニックパニック
ルキィに担がれながら取り乱す俺はかっこ悪いだろうな・・・
風の音と一緒に体が落ちていく、無我夢中で子供を放さないようにする

「なんじゃこりゃぁあぁぁ!?」
「耳元でうるさいっすよ!!」
「ととととと飛ぶんだルキィ!!」
「無理っす!この高さからは飛べないっす!!!
こんなスピードで羽開いたら千切れるっす!!!」
「うっそーーーーーーー!?」
ルキィは俺と子供を担いでいない手で銃に手を加えている。器用な奴だ

「ひき蛙の如く潰れるのか!?」
「集中できんっすよー!」
・・・んな事言ったって!!!もう3階分まで落ちてるよ!はぇぇ!!
もうダメだ!頭の中もぐちゃぐちゃぁぁぁ!!?

「・・・できたっす!」
「なにが!?」
「だから喋ってると舌噛むっす!」

パニックの中懸命に事態を判断する
ルキィはそう言って銃を下に向けた、いやいや!何するかわからんが流石にあの小さな弾じゃ!

「―――今っす!!」
多分1階の天井らへんを通過した時
今までの銃声とは比べ物にならない音がした

「ドーーーーーーーーーーーン!!!っす!」
例えるならバズーカ。しかもその音に負けない衝撃が放たれ・・・俺達が落ちる予定の場所にクレーターができた



「・・・生きてるよ」
悪魔バズーカの衝撃で俺達の体はクレーター内に無事・・・いや全身痛むし服もボロボロだけど、あの高さから考えれば無事着地
ルキィは俺達を放してへたり込む。悪魔銃・・・もといバズーカはバラバラに壊れていた
玄関付近に落ちたので気分は舞台の主役。回りは目を見開いて止まってる
消防署の方々、一般人、警察・・・い〜〜っぱい

「ルキィ・・・俺生きてるんだよな」
「もちろんっすよ」
ぐてーっとしたルキィを置いておきこの場をなんとかしようと試みる

「・・・ども〜」
「奇跡だ!!!」
「すごい!!!」
「クレーターと共に人間が助かったぞ!!!」
アイドルがコンサートでの決め台詞でも言った時のような歓声が響き渡る

「・・・まぁ奇跡としか言いようないよな」
人間は物理的におかしかったり超低確率での出来事が成功したりするのを奇跡と言う
決して彼等が楽天的と言うワケではない
理由がわからないのだから仕方ないのさ

「助かったよルキィ
・・・ありがとな」
「へへへ・・・どういたしましてっす♪」
満面の悪魔
やっぱりこの顔がコイツには一番合ってる

「ありゃっす・・・」
「!?」
ルキィの体が・・・透けていく

「やっぱ規定事項大幅違反は無視してもらえないっすね・・・」
「おい!?それ大丈夫なのか!?」
人目なんて気にせず声を荒げて聞く

「ん〜、不幸予定自身改変、衆目能力行使
まずいかも」
「笑ってる場合か!?」
「まぁアタシは満足してるっすよ、せっかく助けたんっすから命を大事にするっすよ?」
「わかってる・・・わかってるが―――」
またルキィの体が透ける
よく目を凝らさないと見えないくらい

「あちゃぁ〜やっぱお仕置き人の方々は仕事が速いっすなぁ」
「ルキィ・・・!?」
「さよならっす」
悪魔ははにかんで笑う

「ふざける―――」
言いたいことがたくさんある。礼もしたりないし感謝に旨いものでも食わしてやりたい。とにかく今消えられては困る
肩を掴もうとするが・・・そんな俺の手は空を切った

「んっじゃねぇ〜〜〜」
「お・・・い!?」
そしてルキィは完全に消えた

「冗談って・・・言ってくれよ」
周りのざわめきも、頭がグルグル回った状態の嘔吐感によって書き消される
悪魔・・・友達・・・ルキィ・・・ルキィ・・・!
俺は友達見殺しにしてまで生きたくなかったぞ!?
おい!!!
くそ・・・ぅ

















「ちゃーーーーっす!」
「・・・・は?」
「だっからちゃーーーーーっす!」
「・・・・は?」
「物分りが悪いっすねぇ、ちゃ・ぁ・っす!!」
「なーーーんでお前がここにいる!??!」
数日経っても全く変わらない黒服のルキィが俺の部屋に現れる

「いやぁ・・・話すと長くなるっすから―――」
「話せ!!!」
「は!?はいっす!!」
俺は勉強中だったので椅子に座って足を組む、ルキィは俺の足元で正座
なんだか説教オヤジみたいだ

「じじじっつはぁ
タカシの不幸力場を研究したいって団体が出てきてぇ・・・そっれで悪魔委員会が特例で許可したんっすよ!
恐ろしい程の規定違反したアタシも特別処置で罰が軽くなったんっす!」
「それでなぜお前がここに?」
「ええええっと!引き続き仕事をせよ!っとの事でありますっす!」
「ほぉ」
「そ、そういうことなんっす」
冷や汗がいっぱい張り付いた笑顔の悪魔
まぁルキィが生きていて正直嬉しいし、前と同じような生活に戻るのなら歓迎だ。本来なら怒る必要もないのだが・・・

「んで、その大量の荷物はなんなんだ?」
「え?!あ、えっとぉ、これはぁ〜」
「さっさと話せ」
「うぅ〜、実は罰則は完全には消えなくて〜その、減給されちゃって
いつも使ってた悪魔用のビジネスホテルが使えなくなったっすよ!」
「っで?」
「タカシの家にお邪魔になろうと!」
「帰れ♪」
素敵な笑顔の俺

「まままままってっす!!
このままだと身寄りのないアタシは長期間人間界で野宿するハメになるんっすよ!?
可哀想って思うっすよね!?ひどいと思うっすよね!?
タカシに人の心があるのならお願いっす!!」
悪魔に人の心を諭される覚えはない

「だからと言ってなぜ悪魔と同棲せねば―――」
「いやいや!!押入れでもいいっすから!!」
「この家に押入れはない」
「え?!えと、んじゃー・・・」
「ふぅ」
全くこの悪魔は・・・。俺は家に空き部屋があったか思い出していると

「高士ーーーーーーー♪」
「高士ちゃーーーーん♪」
「な!?だから音もなく入ってこるなって・・・!」
この夫婦は先日の火事の中逃げ遅れた人達12人を助けて消防署に表彰されていた
絶対何かおかしいって

「何か大きな声がすると思ってきてみたら♪」
俺大声出してないよな?

「だぁれその紫の髪の子は♪」
「な?!」
「ぁー、アタシ罰則で透過能力も没収されちゃいましたっ」
「なに!?聞いて―――」
「なんだかワケありそうだね!」
「もしよかったら私達に話してみなさいな!」
「っちょ!?父さん!?母さん!?」
「わぁぁあああぁ!っす!!」
バッっと立ち上がって俺の親に駆け寄る

「実はっですねぇい!
――――――――――――――――
っなわけなんっすよ!!」
「なるほど!!」
「そういう事なのね!」
「そうなんっす・・・だけど鬼のようなタカシはアタシを泊めてくれないと・・・」
およよっと泣く仕草をしやがる

「あんな子は無視なさい!部屋位空いてるから自由に使うといいわ♪」
「そうとも♪タカシの命を救ってくれた恩人だもんな♪」
三人で楽しそうに笑い出す

「いっやぁ!助かりましたっす!このご恩は一生忘れないっす!」
「最近の子にしては珍しいな!」
だって悪魔だし

「このままウチの子になってもいいわよ♪」
おいおい。そろそろ止めないとな

「んじゃ俺学校に行ってくる」
「ぉお!もうこんな時間か!」
「いってらっしゃい高士ちゃん♪」
「あーーい」
「それじゃぁありがとでしたーーーす!」
「早く帰ってくるんだぞ二人共♪」
「晩御飯は七面鳥を用意するわ♪」
ぇえ

部屋から鞄を取ってさっさと玄関に向かい、靴を履いて準備万端
「いってきまーーーす!」

そしていつも登校風景・・・

「おい」
定番の坂道の下で悪魔に話しかける

「なんっすか??」
「お前・・・みんなに見えてるんだよな」
「はいっす!」
チラチラと学生や散歩の人達がこっちを見ている
そりゃぁ紫の髪だなんてな・・・

「学校にも来るのか?」
「もちっす!」
「はぁ・・・」
流石にみんなに見えた状態で窓際に座ったりはできんだろう・・・

「っま!これからもよろしくっす!」
・・・まぁいいか
これからも苦労はついてきそうだし
災難の種が一つくらい増えたって大した差はないさ

「まぁ・・・よろしく」

非常に口惜しいが俺の不幸ライフは始まった

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初めてここに書いた者です。単純にこの小説は凄ぃ・・・・。 いぁ。。私が涙もろいからなのか。少し泣けましたw 本当に感動しました。凄いっす。(ぉぃ   次回作もかなり期待します。

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これって読むべき??\(^o^)/

・・・任せます

どうもこんばんは
いやぁ、今回は量も内容も充実して読みごたえのあるものでした( ´ー`)
特に、父母がw いやぁ、本当に彼ら何者なんでしょう(´`;)
ここでは初めての長編といことですが、スラスラと読めて面白かったです
次回も頑張って下さい〜

どうもいつもありがとうございますです。
いやはや、ここまで長くしたのは初めてで読んでる方に飽きられるか心配でしたよ(笑)
父母についてはいつか外伝を書きたいなぁって妄想中ですb
なんとかスムーズに読んでいただいて感動感激感謝です!
次回ともよしなにしてくださいです〜!

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あー!面白かった!!
すっかりご無沙汰しちゃってごめんなさい!
高士くん、いいよね、不幸しょっていながらそこまで明るいのは、そうかこの両親あってか!って?
もう、デパート火の海、後二分、って。思わず、ほろり。
でもしっかり、ハッピーエンドで!楽しみました!
ありがとう!

どうもらんららさん!
こちらこそ長い間ご無沙汰してしまい・・・・、そんな所をご訪問ありがとうです!
むしろ高士とルキィよりも両親の方が人気がある事実(笑)
お褒めの言葉のおかげでデパートの場面がもう少し切迫感を持たせられるはず・・・!っと妄想パワーが吹き出たのでいつかリメイクしてみますっ
こちらこそありがとうございました!

はじめまして
読ませていただきました。
面白かったです。
そしてちょっぴり泣けました。
凄いです。

読まず嫌いの私が一日で人様の小説を読み終えてしまいましたよwww
タカシが格好良すぎます。なんだか、男として?みたいなw
彼の性格あっての感動だと思いました。
ルキィは最後までカワイイですねwこんなキャラを思いつくって、スゴイですよ。明日から語尾に〜っすが付くかもしれませんwそのくらい思い入れが湧きました。
……にしても父母……(笑)
どっかで傭兵でもやっていたんでしょうかwステキです。
黒尽くめの大野って人も気になります。テロリスト??
他の小説もまた読ませていただきます。では〜

久々に足を運ばせていただきました。


不幸はあなたに、読みました、「巧い」です。
キャラの作り方とか秀逸です。
いいできの作品ですね。
私のやさぐれバトル小説よりいいのではないでしょうか。
では、また来させてもらいますね。

ウィスペルさまこんにちは。
そう言って貰えると気合と妄想力が出てきます。現状この作品が人気があるようで、同時に自分は電撃風味が向いてると言う結論なのかもしれません。
この先がんばって、お褒めのお言葉をもう一度貰えるような作品を作りたいと思います。

芥子果さまどうもです。
気に入ってもらえて、書き手として最大の喜びでした。
TVで悪魔払いのを見て、
「電撃風のヒロインは悪魔でいこう」
この数分後、ルキィが生まれました。でも[っす]口調は昔から暖めていたので少し思い入れはあるかもしれません。なんだか響きが良いって点で好きですし、先輩相手さま等には多様します。
父母や大野は後々書きたいのですが、今の更新スピードではいつになるやら・・・。大野は違う話に少し出てたりしてます。
また気に入ってもらえる小説が書けるように猛進してみます。

銀蛇さま、またどうも。
キャラがダメだと話もダメになるって昔聞いたので少し気を使いましたが、キャラが話より目立ってしまってるんじゃないか心配です。それはそれでいいかもしれませんが。
たぶんコレが一番マシな作品かもしれません。誤字や文章的未熟さは置いておいて。
またそちらにも遊びにいかせてもらいまっす。

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脳内願望人

脳内願望人

どうも変な場所に迷い込んでくださりありがとうございます。 小説サイトのつもりなので世の駄文を研究したい方や何か時間を使わないといけないけれど、何をすればいいかわからない方や暇な人はぜひお読みください。
ゆっくり読んでくれると嬉しいです。
あ、一応著作権は脳内願望人に帰ってくるってことで。え?盗む奴いない?
・・・ハハハ・・・。

そういえば、メッセンジャー始めました。メールは放置してますが、MSNのLiveなんとかでやってます。

nekomanma2226@yahoo.co.jp

よければー。





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