2005-01-01 Sat 00:00
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―――そこは薄暗い森の中
「おはようございます、こんにちは、こんばんは。」
木々の空けた場所で薪に火を点け、暖をとっていた旅人らしき人に喋りかけた少女が居た。
「私は本売りです。
旅の暇つぶしに本はいかがですか?」
暗い森の中、よく見えなかった少女の姿が薪の灯りで少しづつ見えてくる。
茶色く汚れたローブの様な物を着ていて背中には・・・山のように本をたくさん背負っているのだ。
それらの本を紐とも縄とも似つかぬ物体で縛り付けて平然としている。
そんな少女は不思議と不気味の中間・・・と言うのが旅人の印象だった。
「どんな本を売っているんだい?」
旅人が聞くと少女は少し近寄ってきた。
やっと顔が見えてくる。
やる気の無さそうな緑眼に緑の眼鏡、緑の・・・魔女帽子みたいな物を被っている、服以外は緑尽くしだ。
しかし髪は深い深い蒼。
「私が売るのは人生録です」
「それはなんだい?」
旅人は意味がよく分らなかった。本売りは淡々と説明する。
「この本達はみんな未完成。ほとんどが真っ白です。」
「それじゃぁおもしろくないのでは?」
「この本の特徴は・・・今世界のどこかで生きている人の人生がリアルタイムで書かれていきます。」
「・・・それはどういう意味かな?」
「今現在も生きて活動している人の人生が少しづつ自動で書かれていきます。」
旅人はあっけらかんとした。そんな物を信じられるかどうか悩んでいる。
「大丈夫です。あまりプライベートな所は書かれませんから。」
「そんな心配じゃないんだけどな・・・。」
「まぁ見て行ってください。私はまだ見習いなので売れる本が限られているんですけどね。」
「ちなみにお代は?」
「私は見習いなのでお金は受け取れません。
なので本を読んだ感想を・・・それがお代と言うことで。」
本売りはおどけて言った。
「それじゃぁ・・・見せてもらおうかな。」
「はい、ありがとうございます。
現在お売りできるのは―――」


