2000-01-01 Sat 00:00
[短編]
ふっと目が覚めた
ド田舎のこの村
この時期、外では猫ジャラシが夜風に吹かれて一斉に揺れている頃だろう
なんとなくだけど僕はその光景を見るのが好きだ、どこか懐かしい部分があるんだ
僕はどうして目が覚めたのだろうか・・・家にはお婆ちゃんしかいないけど、夜中に動いたりは絶対しないし・・・
でもこういう事もたまにはあるのだろう
僕は布団に戻ろうとした
その時
ーーーリンーーー
少し耳を疑った、風鈴はこの家にないし、こんな時間の山奥に、人が通るなんてありえない
「・・・何の音だろう?」
僕は無意識に立ち上がって行動を起こしていた
―――その音に誘われる様に
簡単にTシャツを着てズボンも寝巻きのままだ、髪も短いから気にしない
そのままサンダルで庭から外にでた
だけど結構夜の散歩は良いものだ
風がいい感じに吹いていて汗も掻かないし周りの景色もいつも見る景色とは随分違う
「いい発見をした・・・かな?」
そこで歩き終わった所、
景色を楽しんでいる間に山頂付近まで来てしまったようだ、時間にすれば15分って所だと思う
―――リン―――
「あ・・・」
この音は・・・さっきよりハッキリ聞こえる
僕はまた無意識のウチに音のする方に歩いていた
木の隙間から何か見える
あれは_______
茶色い毛並み
クリっとしたお目目
土のついた体
そして不自然に腕に巻きついている鈴
モグラ?
モグラが切り株に座って月を見ている
「!」
・・・気づかれたみたい。ビクッと体を反応させた。
「あちゃぁ・・・見られたか」
「!?」
今度は僕が驚いた、もっモグラが・・・喋ってる!?
僕の目の前にいるのは、腕に鈴が巻いてある「喋るモグラ」だった
「あっぁあののののもっモグラさんですか?」
うう、口と舌が上手く回らないよ、
だけどそんな僕の質問に
「違うよ」
すぐに返された、え・・・モグラにしか見えないよ・・・
「俺はね」
少し声が高くなった、というか笑い声混じりの声みたいだ
「月人」
「は!?」
「だ〜か〜ら〜つ〜き〜び〜と〜」
つきびと?なにそれ?なんでモグラなのに人?っていうか
「ぇ〜〜〜!?」
「大きな声出しちゃダメだって」
「ででででもももぉ」
僕が慌てていると少しため息混じりにモグラは言った
「お前まだ子供じゃねぇか、世界には絶対に俺みたいな存在がいないと断言できるだけの経験してんのかぁ?」
少なくとも喋るモグラがいないとは教育課程上知っている
大分落ち着いてきたよ、今大事なのは冷静になる事だ
おーがっつー!
・・・めげそう。
「でっでもなんでモグラが喋るのさ」
「ん?まあ思うよな最初に」
「よかったら・・・教えてくれないかな?」
「TVにでも言いふらすのか?」
「いんや、頭が少し爽やかな子供にしか見られないよ、僕まだ小学生だもん」
「そっか、・・・なら教えてやる」
僕は固唾を呑む
モグラはこう言った
「俺達は昔[月]に住んでいた、お前達には信じられないだろうが俺達は体を動かすのに酸素とか栄養とかいらねぇんだ、・・・たまに石とか食えばいいだけ。進化過程の違いなんだが詳しくは解明されてねぇみたいだ」
「そんな!人間だって月に行ったことあるけど君達みたいな存在なんて―――!」
「それだ」
「っえ・・・?」
モグラは声を低くして言った
「それが俺達[月人]がここにいる理由」
「それってどういう・・・」
「お前達地球人が月にきちまったから、俺達はここにいる」
まだ解からない
「どうして?別に地球人が着たからって気にする事ないじゃない」
「・・・ならお前らならどうする?突然いつも見ていた星から飛んできて、自分達の土地にガツガツと入ってきたら」
「そっそりゃぁ・・・」
「しかも俺達より遥かに技術力が上の連中だ、この世界で言えば縄文時代と現代くらいの差があるんだ」
「でっでも住んでる土地を手放さくたって」
「俺達より力の強い相手、のこのこ出て行ったらどうなるかわからん、そして一度そいつらが来た以上俺達の住処は安全とは言えなくなったんだ」
「そんな・・・」
チリンって鈴が寂しく鳴って
「だから・・・ここの生態系に混じってここに住む事にした、一族、一世一代の大勝負だったよ、大気圏抜けるときに半分の仲間が死んだ」
「・・・」
難しい単語が多い、一応僕の趣味の中には押入れの辞書を読むってのがあるが、それでも完全にはわからない
それでも―――
「幸い俺達の、こっちの体はこの地球のモグラってのにそっくりだったからな。後はこの世界の言葉・・・おっと日本語しか知らないぜ、まあ言葉を覚えてこっちの生物に混じって生きるだけさ」
―――すごい話だ
内容の全てを理解したわけではないが、大変なのは解かる
僕はこれまで生きてきて、そんな事があるなんて想像もしなかった
地球人が月に行った裏にそんな事があったなんて・・・
だけど同時に心臓が高鳴ってるのがわかる
不謹慎な話だけどワクワクする、退屈だなっと思ってた世界、それが少し裏をめくれば、こんな不思議が隠れてる
世界の法則とかそんなもので雁字搦め(がんじがらめ)にされてると思ってた
「今は・・・つらいですか?」
気づいたら・・・そんな事を聞いていた
「・・・つらい・・・というより孤独だね」
「こど・・・く?」
「ああ、俺達はこの世界の生物の波長、まあ動物の言葉みたいなのはわからない、動物の言葉は喋れないって事だな・・・、それに仲間もほとんど違う場所に行った、ばれてそのまま全滅ってのもご免だったから・・・」
そうして一拍置いて言った
「それに人間には喋ったらどうなるかわかったもんじゃないし・・・な」
なるほど・・・だから初対面の僕にこんな事を話しかけたんだ
・・・寂しかったんだ
そう思ったら次の言葉は自然に出てきた
「じゃあ・・・お友達ってのになってみない?」
「友達?」
「そう」
「・・・美味いのか?」
「馬鹿ちがう!」
ギギギギギギギ
「痛いな・・・耳を引っ張るな」
「と〜〜も〜〜〜だ〜〜〜ち〜〜」
そう言ったらちょっとすねた様子で
「それは俺がさっき言った言い方だろ・・・わかってるよ友達の意味ぐらい」
僕はモグラをじっと見る
そしてクリクリお目目を細めて
「・・・罠じゃないよな?」
ギリギリギリギリギリギリ
「悪い、冗談だ、耳を引っ張らないでくれ」
そしてこいつは少しためらって
「俺なんかでいいのか?」
「もっちろん」
「それ・・・じゃぁ・・・頼む」
「うんっ」
僕は笑った
多分モグラも笑ってると思う、表情わかり辛いから正確にはわかんないけど・・・
「さて」
「ん??」
「こっちじゃ何かと不便だな、もう耳を引っ張られたくないし」
「へ?」
ボン
「へ?へ?っへ〜〜〜?」
説明しよう
変身した
説明終わり
「こっちが俺のもう一つの体、長時間は無理だが・・・っておい!」
「ほへふひゃあひょひょ〜」
「・・・ダメだ・・・潰れてる・・・」
「にょほふへほ〜」
「・・・せっかくこの世界では花の中学生くらいの姿だって言うのに・・・」
「にゅふぉ〜」
「・・・・たくっ、しゃあねえ」
―――チリン―――
目が覚めた
いや起こされちゃったお婆ちゃんに
周りの状況を確認する
喋るモグラも何もいない
結論が出る
変な夢を見たな。・・・夢でちょっと残念
ほんとであってほしかった
「こぉーーーらーーーさっさと着替えて学校にお行き!来年には中学生じゃろう!!しっかりしな!!!」
「うが、それ言わないで〜」
「さっさと支度しなーーー!女の子でしょうが!」
「いいじゃないそんなの!僕は気にしないってーーーー!」
「最初に僕っていうのも治しなさい!!私って言え!って何回言えば・・・」
つかれた・・・私は歯ブラシを口に含みながら思った
チリンチリン
「え?」
自分の腕を見る
そこには・・・鈴が巻きついていた
「っあ・・・」
夢・・・じゃなかったんだ
月灯りの下、私は遊ぶ
私だけじゃない、もう一人遊んでいる
たわいもない遊びだけど
そいつは楽しそう
もちろん、私も
遊ぶ遊ぶ
月の中
山の頂上で
小さな鈴の音を鳴らして・・・
ド田舎のこの村
この時期、外では猫ジャラシが夜風に吹かれて一斉に揺れている頃だろう
なんとなくだけど僕はその光景を見るのが好きだ、どこか懐かしい部分があるんだ
僕はどうして目が覚めたのだろうか・・・家にはお婆ちゃんしかいないけど、夜中に動いたりは絶対しないし・・・
でもこういう事もたまにはあるのだろう
僕は布団に戻ろうとした
その時
ーーーリンーーー
少し耳を疑った、風鈴はこの家にないし、こんな時間の山奥に、人が通るなんてありえない
「・・・何の音だろう?」
僕は無意識に立ち上がって行動を起こしていた
―――その音に誘われる様に
簡単にTシャツを着てズボンも寝巻きのままだ、髪も短いから気にしない
そのままサンダルで庭から外にでた
だけど結構夜の散歩は良いものだ
風がいい感じに吹いていて汗も掻かないし周りの景色もいつも見る景色とは随分違う
「いい発見をした・・・かな?」
そこで歩き終わった所、
景色を楽しんでいる間に山頂付近まで来てしまったようだ、時間にすれば15分って所だと思う
―――リン―――
「あ・・・」
この音は・・・さっきよりハッキリ聞こえる
僕はまた無意識のウチに音のする方に歩いていた
木の隙間から何か見える
あれは_______
茶色い毛並み
クリっとしたお目目
土のついた体
そして不自然に腕に巻きついている鈴
モグラ?
モグラが切り株に座って月を見ている
「!」
・・・気づかれたみたい。ビクッと体を反応させた。
「あちゃぁ・・・見られたか」
「!?」
今度は僕が驚いた、もっモグラが・・・喋ってる!?
僕の目の前にいるのは、腕に鈴が巻いてある「喋るモグラ」だった
「あっぁあののののもっモグラさんですか?」
うう、口と舌が上手く回らないよ、
だけどそんな僕の質問に
「違うよ」
すぐに返された、え・・・モグラにしか見えないよ・・・
「俺はね」
少し声が高くなった、というか笑い声混じりの声みたいだ
「月人」
「は!?」
「だ〜か〜ら〜つ〜き〜び〜と〜」
つきびと?なにそれ?なんでモグラなのに人?っていうか
「ぇ〜〜〜!?」
「大きな声出しちゃダメだって」
「ででででもももぉ」
僕が慌てていると少しため息混じりにモグラは言った
「お前まだ子供じゃねぇか、世界には絶対に俺みたいな存在がいないと断言できるだけの経験してんのかぁ?」
少なくとも喋るモグラがいないとは教育課程上知っている
大分落ち着いてきたよ、今大事なのは冷静になる事だ
おーがっつー!
・・・めげそう。
「でっでもなんでモグラが喋るのさ」
「ん?まあ思うよな最初に」
「よかったら・・・教えてくれないかな?」
「TVにでも言いふらすのか?」
「いんや、頭が少し爽やかな子供にしか見られないよ、僕まだ小学生だもん」
「そっか、・・・なら教えてやる」
僕は固唾を呑む
モグラはこう言った
「俺達は昔[月]に住んでいた、お前達には信じられないだろうが俺達は体を動かすのに酸素とか栄養とかいらねぇんだ、・・・たまに石とか食えばいいだけ。進化過程の違いなんだが詳しくは解明されてねぇみたいだ」
「そんな!人間だって月に行ったことあるけど君達みたいな存在なんて―――!」
「それだ」
「っえ・・・?」
モグラは声を低くして言った
「それが俺達[月人]がここにいる理由」
「それってどういう・・・」
「お前達地球人が月にきちまったから、俺達はここにいる」
まだ解からない
「どうして?別に地球人が着たからって気にする事ないじゃない」
「・・・ならお前らならどうする?突然いつも見ていた星から飛んできて、自分達の土地にガツガツと入ってきたら」
「そっそりゃぁ・・・」
「しかも俺達より遥かに技術力が上の連中だ、この世界で言えば縄文時代と現代くらいの差があるんだ」
「でっでも住んでる土地を手放さくたって」
「俺達より力の強い相手、のこのこ出て行ったらどうなるかわからん、そして一度そいつらが来た以上俺達の住処は安全とは言えなくなったんだ」
「そんな・・・」
チリンって鈴が寂しく鳴って
「だから・・・ここの生態系に混じってここに住む事にした、一族、一世一代の大勝負だったよ、大気圏抜けるときに半分の仲間が死んだ」
「・・・」
難しい単語が多い、一応僕の趣味の中には押入れの辞書を読むってのがあるが、それでも完全にはわからない
それでも―――
「幸い俺達の、こっちの体はこの地球のモグラってのにそっくりだったからな。後はこの世界の言葉・・・おっと日本語しか知らないぜ、まあ言葉を覚えてこっちの生物に混じって生きるだけさ」
―――すごい話だ
内容の全てを理解したわけではないが、大変なのは解かる
僕はこれまで生きてきて、そんな事があるなんて想像もしなかった
地球人が月に行った裏にそんな事があったなんて・・・
だけど同時に心臓が高鳴ってるのがわかる
不謹慎な話だけどワクワクする、退屈だなっと思ってた世界、それが少し裏をめくれば、こんな不思議が隠れてる
世界の法則とかそんなもので雁字搦め(がんじがらめ)にされてると思ってた
「今は・・・つらいですか?」
気づいたら・・・そんな事を聞いていた
「・・・つらい・・・というより孤独だね」
「こど・・・く?」
「ああ、俺達はこの世界の生物の波長、まあ動物の言葉みたいなのはわからない、動物の言葉は喋れないって事だな・・・、それに仲間もほとんど違う場所に行った、ばれてそのまま全滅ってのもご免だったから・・・」
そうして一拍置いて言った
「それに人間には喋ったらどうなるかわかったもんじゃないし・・・な」
なるほど・・・だから初対面の僕にこんな事を話しかけたんだ
・・・寂しかったんだ
そう思ったら次の言葉は自然に出てきた
「じゃあ・・・お友達ってのになってみない?」
「友達?」
「そう」
「・・・美味いのか?」
「馬鹿ちがう!」
ギギギギギギギ
「痛いな・・・耳を引っ張るな」
「と〜〜も〜〜〜だ〜〜〜ち〜〜」
そう言ったらちょっとすねた様子で
「それは俺がさっき言った言い方だろ・・・わかってるよ友達の意味ぐらい」
僕はモグラをじっと見る
そしてクリクリお目目を細めて
「・・・罠じゃないよな?」
ギリギリギリギリギリギリ
「悪い、冗談だ、耳を引っ張らないでくれ」
そしてこいつは少しためらって
「俺なんかでいいのか?」
「もっちろん」
「それ・・・じゃぁ・・・頼む」
「うんっ」
僕は笑った
多分モグラも笑ってると思う、表情わかり辛いから正確にはわかんないけど・・・
「さて」
「ん??」
「こっちじゃ何かと不便だな、もう耳を引っ張られたくないし」
「へ?」
ボン
「へ?へ?っへ〜〜〜?」
説明しよう
変身した
説明終わり
「こっちが俺のもう一つの体、長時間は無理だが・・・っておい!」
「ほへふひゃあひょひょ〜」
「・・・ダメだ・・・潰れてる・・・」
「にょほふへほ〜」
「・・・せっかくこの世界では花の中学生くらいの姿だって言うのに・・・」
「にゅふぉ〜」
「・・・・たくっ、しゃあねえ」
―――チリン―――
目が覚めた
いや起こされちゃったお婆ちゃんに
周りの状況を確認する
喋るモグラも何もいない
結論が出る
変な夢を見たな。・・・夢でちょっと残念
ほんとであってほしかった
「こぉーーーらーーーさっさと着替えて学校にお行き!来年には中学生じゃろう!!しっかりしな!!!」
「うが、それ言わないで〜」
「さっさと支度しなーーー!女の子でしょうが!」
「いいじゃないそんなの!僕は気にしないってーーーー!」
「最初に僕っていうのも治しなさい!!私って言え!って何回言えば・・・」
つかれた・・・私は歯ブラシを口に含みながら思った
チリンチリン
「え?」
自分の腕を見る
そこには・・・鈴が巻きついていた
「っあ・・・」
夢・・・じゃなかったんだ
月灯りの下、私は遊ぶ
私だけじゃない、もう一人遊んでいる
たわいもない遊びだけど
そいつは楽しそう
もちろん、私も
遊ぶ遊ぶ
月の中
山の頂上で
小さな鈴の音を鳴らして・・・


